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2024.08.25
O y (オイ)インタビュー 後編「ユニークプロダクツ vol.2」
2024.9.5(木)
「ユニークプロダクツ」とはプロダクトをコミュニケーションの手段の1つとして捉え、
作家/ブランドによる「ユニークな」プロダクトと、その背景を発信するOFSならではの企画です。
第2弾となる今回は、6組の作家/ブランドの皆さんにご参加いただきました。
今回、参加者の一人であるO y (オイ)さんのものづくりの背景は、こちらのWEBサイトよりお届けいたします。
(インタビュイー:大植あきこ)
他の参加者へのインタビューはこちら
展示詳細はこちら
Photo:Oy、SEKISAKA
夫婦である我々の子供がまだ小さいので、全員が休みの際は、家族で過ごすことが多いです。
私(大植)は、食品グロッサリー(FOOD ORCHESTRA/フードオーケストラ) のディレクションも行っているので、農家さんを訪ねたり、吉行が緊張するため、普段は行けないようなレストランに、友人と行くこともあります。
時に子供をつれて、食物が育つ背景や状況にふれるのは、とても楽しくデザインだけでなく様々な部分に影響しているのを感じます。
吉行は、銭湯にふらっとでかけて、気になっていた大衆食堂なんかで瓶ビールをひっかけています。公園に子供と出かけ、そこで作った変なものを一緒に持って帰ってくることもあります。
卒業年と在籍した科は異なりますが、オランダ・DESIGN ACADEMY EINDHOVEN (デザインアカデミーアイントフォーヘン)での留学が最初の出会いです。
それぞれ違う経験をしているため、同じ国で過ごしていても、感じ方や、進め方が異なる部分がおもしろく、今でもお互いの刺激になっていると感じます。
最終造形にしていくにあたり、共同で整える作業はもちろんありますが、O yでは互いにモデルを試作して進行することが多いです。スタイルの違いでいうと、私(大植)は、できるかぎりイメージを優先しモデルを作ります。
吉行は、どういう技法や機械でどんな加工をすると、その色形になるかを意識してモデルを作っているように感じます。
2人とも、詳細が決まっていない段階でも、まずは実際に模型、モデルを試作してから進行するようにしています。用いた素材によって違う目線で見ると疑問がわいたり、一見エラー部分にみえる良さを発見できることがあるので、試作することはリサーチをおこなう方向を示してくれると感じています。
また、それぞれの主観や主張が折り重なってモデルがどんどん変化し、そこから加工方法や用途が見えてくることも多々あります。
できるだけ先入観を持たず、素直にお互いの進行を確認する作業が、一番難しさもあり大事な部分だと感じます。
私(大植)は、食品グロッサリー(FOOD ORCHESTRA/フードオーケストラ) のディレクションも行っていたり、吉行も個人で様々なスケール感のプロジェクトに関わっているので、それぞれの立場から使うシーンや場所を想定し、2人でチェックをする作業は、とてもスリリングでもあり楽しさでもあります。
代表の関坂達弘さんも、同じオランダのアカデミー出身ということも大きいですが、オランダ、東京などでのデザイン業務経験後、 地元の福井県で漆器製造、販売をつづける関坂漆器の運営を関坂さんが引き継ぐことになり、
現状や環境を見直しながら、どういうアイテムを思考していくべきかというタイミングで声をかけてくれたことが始まりでした。
関坂さんは量産・販売・素材の環境への負荷など様々なポイントを毎回冷静に判断されますが、我々の遠いところから回り道をするようなプロセスにも根気強く併走してくれます。
他のプロジェクト同様、質を上げるために、改良する部分を提案し、細かい部分まで多くの試行錯誤を繰り返します。その過程で、工場や職人の方と、関坂さん自身が独自のコミュニケーションを取ってくださるので、製造側としての発見や気づきへの視点は毎回こちらも刺激を受けており、楽しみにしている点です。
お互いの拠点となる大阪、福井で最近気に入っている食事などを、時に職人さんも含めていただく際や、お茶休憩のなにげない事柄が大きくプロジェクトに影響しているようにも感じます。音楽やファッション、映画など、ふと話題が逸れてから大きく構想が膨らむこともあり、その進め方もSEKISAKAさんとならではの特徴で、楽しいです。
なにか規定や正解があるわけではなく、そのプロジェクトでのバランスにもよるのですが、最終品は作り手のこだわりを押し付けるのではなく、生活の中に入り込み、目に入ったり使うたびに、「少し新鮮な気持ちになる」ようなものになっているか?が大事にしているポイントのひとつです。
どのプロジェクトもわすれられない様々なポイントがあるので難しいのですが、最終的に販売等には至らなかったり、うまくいかなかった試行の数々が我々が大事にしていることかもしれません。
試作時は納得できたのに、実際に使ったり生活に入れてみると、うまく作用しなかったり主張しすぎたり、または量産時に問題が生じてしまう色造形であったりなど、日々試行錯誤しています。地味なのですが、それでもその積み重ねが伏線回収のように、直接ではなくても他の各プロジェクトに活きていたり、いろいろある私たち夫婦、家族としての共通言語のようになっている気はします。
多くのプロジェクトが日常の事柄からスタートすることもあり、特別なシーンに向けてという事はありませんが、実際に使っている人の姿や場面をみると、とても嬉しい気分になります。 海外や別の地域など、自分とは違う色合いの景色の生活の中にふと見つけたり、飲食店で実際に使用されていたりすることも多く、最近では自分たちの子供があたりまえに使っていて、改めて関わる人々の顔がうかんできます。
Oyさんへのインタビュー:前編はこちら
他の参加者へのインタビューはこちら
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