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愛して止まないものたちー手に入る愛用品ーvol.5:芦沢啓治編



芦沢啓治の愛して止まないものたち
 「正直なデザイン」をモットーとして、TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKやBlue Bottle Coffeeなどの建築物からインテリア、石巻工房のスツールやデンマークAUDOの「Rail Shelf」などのプロダクトを手掛けている芦沢啓治さん。芦沢さんの「愛して止やまないもの」ってなんですか?という問いに出てきたものは、やはり「正直なデザイン」のものたちでした。


① ツバメノート | A4 方眼ノート


 まずはノート。日本人のみならず外国の方々にも評価されているツバメノートの「A4 方眼ノート」です。芦沢さんはこれを鞄の中にも机の上にも、どこでもすぐ書けるように複数冊置いておくそう。

「iPadも使いますが、さっと思いついたものを書くのには紙とペンがいいですね。ノートは自分に合うものを探して、相当渡り歩いて、それでやっとこれだ、って思ったのがこの方眼ノートでした。サイズもいいし触り心地もいいじゃないですか。当たり前ですけど、方眼だから直線があっという間に描ける。建築の人間なんで直線書くのが仕事ですから」

 日本で一般的なB5サイズよりも大きいので、開くとおおよそA3サイズ(ツバメノートのサイズでは306mm×426mm)になるノートは建築のように共同作業が多くある場でも周りに説明しながら使えます。




② シヤチハタ | エルゴラインサインペン0.4


 芦沢さんがノートに描いていく線は、とても気持ち良さそうに次々と形になっていきます。その線を作っているのが、これまた芦沢さんのお気に入り、シヤチハタの「エルゴラインサインペン」、0.4ミリの細字タイプです。

「最初、オーストラリアだったと思うんですけど、海外で見たんです。僕のメンターにあたるピーター・スタッチベリーさんが使っていた。それで、僕も使ってみたんですけど、細かい線がきれいに書けるんですね。そのペンには“Artline”って書いてあって、日本のものじゃないと思ったんですが、よく見たら小さく“Japan”って書いてある。調べてみたら、日本だとエルゴラインという名前で出しているペンだって分かったんです。使い始めたのは2008年頃かな。もう15年以上使ってますね」


 ノートと同じく、いつでもどこでも使えるよう、オフィスの中でもいたるところにこのエルゴラインが置いてあります。芦沢さんの影響でスタッフも使うため、その本数はかなりの数。まとめ買いをして、常に新品もオフィスに常備しているとのこと。ちなみにツバメノートもまとめ買いで常備。芦沢さん自身が忙しくて買い物に行けないということもありますが、「これだ」というものを見付けたら、とことん使う、深い愛です。


③ FLOS | Frisbi | Frisbi JP

©フロスジャパン

 今度はちょっと毛色が違って照明器具です。イタリア人デザイナーのアキッレ・カスティリオーニが1978年にデザインしたペンダントライトの「Frisbi」。
 上部の光源が入っている部分はメタルでシャープに感じますが、光を受け止め拡散するアクリル樹脂のプレート、そのフロストの仕上げが柔らかい印象に。アクリル樹脂の円盤形プレートの真ん中は空いていて、くっきりと光が落ちてきますが、周囲の部分はフロスト仕上げを通して柔らかい光として広がります。上の方にも反射の光がほのかに。

「インダストリアルで最も民主的で、使いやすいライトを作ったんですよね。シンプルな機構なのに、これ以上いいペンダントライトを見た事がないです。円盤に反射した光が天井に当たるんですね。そうすると空間が住宅らしくなるんです。商業用には華やかな光がいい時もあるんですけど、それを家に持って行くと華やか過ぎることがあるんですよね。
 家のライト、例えばリビングなんかはダウンライトをやめたほうがいい。Frisbiみたいなペンダントライトが一個あるだけで、かなり雰囲気がよくなる。
 ちょっと前の白熱電球からLED電球に変わった時期、少し青白くてご飯がまずそうだなって時がありましたよね。照明って本当に大事」

 芦沢さんからはカメラのおすすめもありましたが、今回は残念OFSでは紹介できず。とはいえ、カメラの便利さ、ノートやペンで書いていくこと、そんな話をしているうちに、「記憶」というフレーズが出てきました。写真やノート、平面的な記録をどうやって建築という立体物に起こしていきますか、と聞いたところ

「もちろん寸法的に記録することもありますけど、ある場所に行ったときの感覚とかを考えたり。寂しい感じや賑わい、そういう感覚ってテーブルとテーブルの距離感で出来ていたりとか、その場にある雰囲気の密度って図面には書き切れないので、そういう感覚は記憶が頼りですね」

 ものはとっても大切だけど、それがある、それを触る、こうした身体の感覚も芦沢さんにとって重要なもの。この記憶をしっかりと持っていることで「正直なデザイン」が生まれると感じた言葉でした。

インタビュー・文:渡部千春


【プロフィール】

芦沢啓治(あしざわ・けいじ)

2005年より「芦沢啓治建築設計事務所」主宰。「正直なデザイン/ Honest Design」をモットーに、クラフトを重視しながら建築、インテリア、家具などトータルにデザイン。国内外の建築やインテリアプロジェクト、カリモク家具やAudoなどの家具メーカーとのデザインも手掛ける。
東日本大震災の復旧から生まれ、世界の現地工房で製造・販売するローカルパートナーを10ヶ国以上の持つ家具ブランド「石巻工房」の共同代表も務める。

Instagram:@keijiashizawadesig




【企画展情報】
様々なジャンルで活躍されている方々が、日常で使用している「愛用品」を紹介する企画展『愛して止まないものたちー手に入る愛用品ーvol.2』。6人の愛用者からのコメントを通して「愛用品」をご紹介するとともに、OFS.TOKYO店舗とオンラインショップにて、展示・販売をしています。
▪️店舗
2025年10月23日(木)〜11月24日(月・祝)
12:00-20:00(最終日のみ17:00まで)
※火・水曜日は店休日です。
※営業時間の変更など、最新情報はインスタグラム@ofs_tokyoにてお知らせいたします。
▪️オンラインショップ
2025年10月23日(木)12:00〜11月24日(月・祝)17:00
※該当ページはこちら
※一部、店舗のみでお取扱いをするアイテムもございます。何卒、ご了承くださいませ。
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